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日々書き連ねた妄想をさらすとこ。
必ず初めに諸注意をお読み下さい(でないとわけがわからないと思われます)
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枢木スザ子の憂鬱(仮) 18

3月ですね。
スザ子は残り2話です。
なんとかかんとか終わりそうな気配がしてほっとしてます。
やーもう長らくお付き合いくださいましてありがとうございますm(_  _)m
というか更新停滞してしまって申し訳ないです。
そんな駄目人間に温かいお言葉の数々。
本当にありがとうございました。
残り2話、楽しんでいただけると幸いです。





 緊迫した空気の断ち切ったのは、スザクでもなければルルーシュでもなかった。



「はいはーい、そこの見つめあってるバカップル、生徒会室でいちゃつかないでくださーい」


 代わりに、突き抜けるような明るい声が。


「っ、ミレイ?」



 いつからここに。



「最初からいましたー残念っ。ルルちゃんの寝顔もバッチリ撮らせていただいたわよ」


 悪人顔でにんまり笑うミレイに嫌な予感しか覚えない。
 どうする気だその写真。
 生徒会室は便利な場所だが、二度とやるまいとそっと誓った。

 それにしても人が入ってきて起きなかったなんて。
 そんなに疲れてたのか。



「さあさあルルちゃんもスザ子ちゃんもお仕事よお仕事。ジノがサッカー部の未提出書類を回収しに行ったんだけど帰ってこないのよ。眠気覚ましにルルちゃん迎えに行って頂戴」


はいはいと立ち上がれば今度はするりと手は抜けた。












 わたわたとルルーシュが出て行き、生徒会室は静かになった――もともとたいして音があったわけではないが、そんな問題ではなく、ようやく息がつけるといったところか。



「会長」
「何かしらスザク君」


 声に感情がないことには触れない。


「余計な手出し、しないでもらえますか」
「追いつめるようなやり方はスマートじゃないわね。そんなんじゃ鳶にかっさらわれるわよ」


 頬杖をついてミレイが笑う。
 スザクは不愉快そうに目を細めた。


「ルルーシュは僕のですよ」
「あら? いつスザクのになったのかしら。まだ好きとも言ってもらえてないんでしょ」
「ルルーシュは僕のことが好きです」


 本心の見えない笑みを浮かべてスザクは言い切った。
 だが自信よりははったりに近いその言葉には確かにスザクのルルーシュへの執着は滲み出ている。


「大した自信ねー」
「ありがとうございます」
「ぜひ根拠をお聞かせ願いたいわ」
「実は僕、ツンデレ翻訳機内蔵型なんです」
「ああ。つまり気持ちはわかってるのになかなか手に入らなくて迷走してるってわけね」


 そんな格好をしてみるくらいと暗に言われてスザクは思わず苦虫を噛み潰したような表情になる。
 我ながら滑稽だとは自覚しているのだ。

 一方のミレイはふふと楽しそうに笑った。


「こんな時こそ恋の堕天使ミレイちゃんの出番よね!」
「堕天使………?」


 何か一文字余計なものがついている。
 不吉な感じの余計なものが――何故つけた。


「堕?」

 それって専門用語で悪魔とは言わないか。


「だあって天使はキューピットで間に合ってるし、私はね、より不幸な者を救うの。地獄に差す一抹の光なのよ」


 わけがわからん。
 あれか。地獄に仏とでも言いたいのか。



「まあまかせなさいって」



 ミレイが自信に溢れれば溢れるほど底知れない不安に襲われながら、スザクはとりあえずひとつわかった事実をかみしめる。。


 思った通りこの格好はルルーシュの心に波を立てないらしい。
 いや、まさかとは思ったが正直これほどとは思ってなかった。
 ただし近づければそれでいいかとも考えないでもないが、これでは一歩も進めないのはさっきのルルーシュの反応から明白すぎるほど明白だった。
 なりたいのは友達ではないのだと言って彼女はわかるだろうか。

























 心持ち早足で廊下を突き進むルルーシュの頭を占めるのはただ1つの事柄だけだった。



 スザク。





 何故あんな格好――今更女装だなんて――をしていたのだろう。
 いやそれよりも、何故平気だったのだろうか。
 振り払うことも、後ずさることもなかった。

 まさか寝起きでぼんやりしていたからなどというわけもあるまい。
 足を止めて己の掌をじっと見る。


 スザクの手の方が、大きかった。
 それにまだ少し熱が残ってる気がする。


 まさに心ここにあらず。
 そんな状態だったから気づけなかった。



「ルルーシュ・ランペルージ君」


 人の気配に。
 男の声がひどく近かった。
 はっとして振り返るより早く、左腕をつかまれたたらを踏んだ。
 強制的に振り向かされた先にあった顔は見覚えがない。
 ただどこか、嫌な感じがした。

 否、厳密にはルルーシュはそれが誰か知っていた。
 しかし面識はなかったはずだ。



「ああ、やっと捕まえましたよ」


 金の長髪を後ろで一つにくくった背の高い男。
 名前を呼ばれただけで背中に虫が這うように不快だった。


「何の、御用でしょうか」


 ひくつきそうになる口元で無理矢理微笑んで見せるのは、どれだけ怪しくても相手が教師だからに他ならない。


「ディートハルト先生」


 主に3年を担当している国語教師。
 ルルーシュのクラスを受け持っていなければ、他に特に接点も話題にのぼったこともなく、ルルーシュが名前を知っていたのは全ての教師の名前と顔を一致させるために資料を見ていたからに他ならない――もちろん簡単なプロフィールは教師だけでなく在学中の全生徒について記憶済みだ。

 正真正銘の初対面。
 呼び止められる理由に思い当たるものはない。


「あなたに大切なお話が」


 愛想良く笑顔をつくったままそっと腕を外そうと試みる。
 とにかく不愉快で仕方ないのだ。
 スザクの手を打ち払うのとはまた違う――あるいは全く違う。
 気持ちが悪い。
 触るなとはっきりと思った。


「ここでは落ち着きませんからこちらへ」
「すいません、手を」

 放してください。
 そう言いかけたルルーシュをディートハルトは横のドアの中へ引きずり込んだ。

 一気に危機感が膨れ上がる。
 相手が教師だということはこの場合何の保証にもならない。
 この男は危険だと脳内では警報が鳴り響く。


「一体何なんですか? 生徒会への用件であれば生徒会室へ……」
「いいえ、用があるのは貴方にです。人に聞かれたくないのはそちらのほうかと思っての配慮でしたがお気に召しませんか。もしくは、聞かせたいとでも?」
「だからなんのっ」


 だんっと壁に押しつけられた。




 いやだ。


 いやだ。
 これは嫌だ。
 この男は嫌だ。


 溢れかえる生理的嫌悪。


 押しつけられて身をすくませたルルーシュの姿を見てディートハルトはどこか陶酔したように笑った。


「さあ見せてもらいましょうか」
「な、にを」


 耳元で囁かれ、あたる息に寒気が走る。
 気持ち悪い。


「何を? もちろん証拠ですよ。ルルーシュ・ランペルージ君。いえ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア嬢」



 女だろうと勝ち誇ったように言われた意味は――。
 何をされるのかルルーシュの脳内では瞬時に81通りの陵辱と恐喝が展開されたが、そのどもがぞっとしない。
 冗談ではない。
 そもそも女だとバレたところで大した痛手ではないのだ。脅される謂われなど、はっきり言おう、ない。
 そんなことのために貞操を売り払う気もなければ、こんな男の言いようにされるなど死んだほうがましに違いない。
 こんな、男に。
 スザクでもないのに――そこででてきた名前の意味をルルーシュは深く考えなかった。


 だが悔しいかな、突きつけられた通り女であるルルーシュの力では男の拘束から逃れられない。

 ブレザーの下に潜った手が腰に触れた瞬間に身体が震えたのはその温度差のみのせいではなかった。


 助けてという叫びはルルーシュの口からは決して放たれなかったが、ルルーシュの手は確かに助けをもとめてさ迷った。
 無意識に唇が名を象る。
 スザク、と。


 スザクに触られた時はこんなに気持ち悪くなかった。



「やめろ!」



 いやだ。
 いやだ嫌だ。
 嫌なのだ。
 こんなのは嫌だ。
 こいつは嫌だ。
 スザク。
 スザクスザクスザクスザク。



「ああ、いい。その目、その目です」
「こんなことをして、タダで済むと!」
「タダで? 結構なことじゃないですか。それで貴女に一歩でも近づけるのなら」


 正真正銘の変態だ。
 言葉が通じない。


「全てを棒に振りますか。愚かなことだ。私をルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと知っての所業なら、こんなことうをして、貴方にまともな明日がないのもわかるはず」
「おや? それは私の予想ではありますが、そうですか、認められますか。それでは証拠を見せていただきましょう!」


 論理の破綻などこうなってはもう意味がない。
 結局どうだっていいのだこの男は。
 ルルーシュが男だとか、女だとか、ランペールジかブリタニアか、そんなもの全てをひっくるめて、どうでもいい。
 ただ今の欲望を満たしたいだけ。
 屈辱に唇を噛み締めるルルーシュに変態教師はいやらしくねっとりと腹をなで上げながら顔を近づけてきた。


「ご存知ですか。男性と女性ではウエストと臍の位置が違うのだということを」



 かっと頭に血が上った。
 手に触れた物、それが何かも確かめず、ルルーシュはただ乏しい――特にスザクなど野生児に比べればないに等しいに違いない――本能が命じるままにそれを振り上げた。




 がっと鈍い音がしてうめき声とともに力が緩んだ。


 手ごたえは確かにあった。
 けれどもそれがどれほどのダメージを与えたか、確かめる余裕はなく、とにかく力が緩んだことだけをよしとして、ルルーシュは男の身体をはがしてドアに縋りつく。
 深く考えずに投げた凶器が床とぶつかって大きな音をたてた。



 だが、ルルーシュがドアを開けようとしたまさにその瞬間、がしっと足首をつかまれた。
 悲鳴を上げる間もなく、その手はルルーシュを引き戻す。身体は投げだされるように教室の床に転がった。



「いっ、放せ!このっ! スザ、ん!? んーーーーー」



 スザク。その名前は無意識に口をついてでた。
 けれども叫び声に反応した男の手がすぐさまルルーシュの口をふさぎ、ルルーシュさえもその続きを知ることはない。
 助けてとでも言おうとしたのか。届くはずもないのに。



「とんだじゃじゃ馬だ。少し静かにしてもらいましょうか。これじゃあ話もできない」



 話などとどの口が言うのか。
 床に転がったルルーシュを縫い付けるかのように乗りあがって押さえこんでくる。
 ルルーシュが打ちつけた額から血を流れていた。
 それは項をつたい襟を赤く染める。
 男は血を拭いもせず、ただ息を荒げ、血走った目でルルーシュを見下ろすのだ。その姿がルルーシュの恐怖を更にあおった。




「んん、ん、んー」



 必死に首を振るが男の手はびくともしない。
 上からおさえこまれてしまった手足も動かない。
 かろうじて視界に入った、転がったメトロノームが先ほどの凶器の正体を教えてくれるが、それがわかったからといって何になるだろう。



「私は真実の探究者です。ただ知りたいだけだ。隠された真実ならばなおのこと。暴力的な手段は好みませんが、貴女がそんな態度をとるのだから仕方がない」



 頭上で展開される勝手な論理
 むちゃくちゃな論理といわずなんと言おう。
 けれどもルルーシュの口は塞がれてしまっているのだ。
 腹立たしさに涙が零れそうになる。


 こんな、こんな男にいいようにされるのか。



 教師の名を冠する男の手がルルーシュの制服のボタンをはずしていく
 教師が聖職者だと信じたことなど一度もないが、これで人間不信ならぬ教師不信になるなというほうが難しい。


 その手がシャツのボタンにまでかかって、正視していられなくなってルルーシュは息をのんだ。


 万事休す。
 女だとばれる――もはや確信しているみたいだが――のは構わない。
 だが、男という生き物が、シャツを剥ぎ、肌をさらして、それで納得すると思うほどルルーシュの頭はおめでたくできていない。


 逃げ場がないのなら覚悟を決めるしかあるまい。
 こんな男に良いようにされるだなんて最悪以外の何ものでもない。


 殺してやる。

 ひっそりと心に決める。


 事実ごと全て葬り去ってやる。
 たかだか身体一つ、大してことなんてない。
 問題はせいぜいプライドぐらいだ。

 心の柔らかいところまで誰がいれてやるものか。
 誰が侵されてなどやるものか。
 誰が泣いてなどやるものか。
 こんなことぐらいで傷つきなど――。



 ああでもスザクは、どう思うだろう。

 キズものの女なんて嫌だろう。
 嫌われるだろうか。
 同情されるのだろうか。
 それとも怒るだろうか。
 あの大きな瞳から、涙がこぼれたりするのだろうか。



 嫌われるのは嫌だなと思った。
 スザクに嫌われるのは、男に侵されるのよりもずっと怖い。

 泣かれるのも嫌だ。
 自分が泣くよりもずっと胸が締め付けられる。




 大切なスザク。
 大好きなスザク。


 こんな下らないことで失いたくなんてない。



 ああもうさっさと既成事実の一つでも作ってしまえばよかった。
 自分がスザクにとった態度など棚にあげてそんなことを思う。

 

 消してしまおう。
 全部なくしてしまおう。
 この男ごと全て。
 スザクにばれる前に。

 あとそれから、婚約の件もスザクがそれでいいと言っている間にさくさくと進めてしまわねば。
 我に返った時にはもう逃げられないように。


 ふふっと状況に似合わない笑みを浮かべ、ルルーシュは目を瞑った。

 一瞬だ。
 一瞬。
 すぐに全て終わる。










 そう思った、それこそ一瞬後、だったかもしれない。
 教室にばんっと激しい音が響き渡った。



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